第621話彼女に何かが起こったことを知ると、彼は一瞬もじっとしていられなかった

エミリーはスカートの裾をきつく握りしめると、その一部を引き裂き、バイロンの血のにじむ傷の止血に使った。

それからソフィアの髪からヘアピンをいくつか抜き取った。即席の鍼代わりにちょうどよさそうだった。

針のようなそのピンを指先でつまんだ瞬間、彼女の纏う空気ががらりと変わった。

ソフィアはすぐそばにしゃがみ込み、息をのんだまま見守っていた。

エミリーの処置が終わるころには、バイロンの顔色は目に見えてよくなっていた。

だが、その危機をどうにか切り抜けた矢先、エミリーに傷つけられた男の仲間たちは、彼女たちがただの獲物ではないと悟ったらしかった。じりじりと包囲を狭めてくる。

ソフィアは危うく...

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